星の声

冬銀河 縫い留めてゆく 管理人


消えてった 流れ星の 子を孕み


シリウスに 埃を払い 望遠鏡


短夜に 違へる寝屋は 小宇宙


蛇使い 薔薇振りまきつ 蛇巻きぬ

石の夢

水晶の 実が成りしとき 誰そかの 遠き願いが 成就したとき


啼けよフィロメラ 乙女の心臓 血は流れ 大理石に凍りつく


老犬の 霞みがかりし瞳には ルビヰの墓の 夢映るらん


カラコロと 愛し(かなし)骨より 産まれつる 人工(くぁう)ダイヤ/舐めもて玩ぶ


寒がりで 初心な天使の 麗しき肺 宝石どもの 屑が詰まりおり 字余り


玉髄の 凪いだプールで 力尽きたり 鬱病の人魚 絶唱も無く

花束


藤の蔦もて落とし穴隠したる子供らの 無垢なる悪意より 


薔薇の実が 腐り落ちては種撒かず 冬来たるらし子犬のくしゃみ 


キミ想ふ 涙流るる我が呪詛よ 死に損ないの百合よ燃えよや


石の森 蜜蜂の音心地よく キミの毒で僕はバラバラ


麗しのみどりの薔薇を押し花に あの思い出もあわれぺちゃんこ


青嵐に春告鳥はまろび合う 踊りを止めよ杉山桜